佐藤めがねの闘病記録

子宮平滑筋肉腫と告知されました

「ながらワーカー」私の場合

最近CMで「がんになっても働く」というような内容のものが流れているそうですね。
治療しながら、通院しながら、体調と相談しながら。
がんになっても働く社会へ、みたいな。
私もその「ながらワーカー」なのだと思います。
以前は治療しながら。現在は通院しながら。
 
このCMは私にとっては当たり前の事であり、
そうね、そうなってほしいね、とそう感じただけでした。
でもそう思わない人もいるのかな、と感じたのは
いくつかのツイートを目にしてからでした。
 
「がんになってまで働きたくない」
「がんになっても働かないといけないなんて絶望」
「がんでも働きたいなんてワークホリックだ」
「がんになっても働けってひどい」
「がんになったら働かなくてもいいような社会になればいいのに」
 
私と違う捉え方を沢山知りました。
そもそも、私は患者になる前は「がんになったら」なんて考えたことがなかったので
私よりはみなさんの想像力の方がよいのですが
想像するよりも先に実体験をしてしまった私の
「がんになったら」をシェアしたいな、と思い、
今回は治療とは関係ないですが、一つ記事にしようと思いました。
 
以下、私の意見であり体験です。
あれって「がんになっても働け」という趣旨ではないと思います。
それから、がんになっても働きたいという気持ちは
ワークホリックではないんじゃないかな、と思います。
趣味ではだめなの?という方もいらっしゃいましたが
趣味ではだめなんです。
正確には「趣味だけではだめ」なのかな。
だって、私はそれまで仕事と趣味と両方で生きていましたから。
だからがんになってもその両方が必要なんです。
がん患者なのに贅沢ですか?そんな事はありませんよね。
皆さんも聞いたことありますよね?
「がんは治せる時代」なんだと。
治せる病気を治しているだけなんです。
だから趣味だけじゃなくあれこれ欲しても贅沢ではないと思います。
だって、治療が終わればまた人生が続いていくのですから。
ここが、いくつか見たツイートと私との差なのかもしれません。
 
「がんになる=人生の最後を迎える」
そういうイメージだと、
がんになれば働かず好きなことに没頭したい
がんになってまで働くなんて酷だ
そう想像するのはいたって普通のことかもしれません。
ですが、がんは全員がいきなりそういう段階になるわけではないと思います。
私も告知された時は人生の終わりをかなり考えましたが
それでも、治療に関していえば、それは終わりのためではなく生きるためです。
でもあれらのツイートは「死を控えた人」を想定しているのではないでしょうか。
 
この先の日記で詳細を書いていくつもりではありますが、
私は2回目の手術後は復帰をせずそのまま抗がん剤治療に入り
1ヶ月以上の休みを経て仕事に復帰しました。
そして抗がん剤治療中も働いていました。
私が受けたDG療法はDAY1DAY8に投与があるため
毎回約10日間の入院でしたが
DAY1の後は外泊し、2日間だけ働いていました。
 
仕事後病院に戻り、翌日DAY8を受けさらにその翌日退院。
一週間の実家での療養後に職場に戻り
直後に血液検査→問題なしのため入院予約依頼、
結局3~5日働いたらまた入院
これをずっと繰り返していました。
そんなに仕事が好きなわけではありません。
働きたくないと毎日思っていました。
でも、治療中は働く事が楽しみでした。
一種のリハビリのような感覚で、日常が大事でした。
 
周囲に負担がかかっていたかもしれません。
気を遣わせているとも思います。
だから、働けることを当たり前だとは思っていません。
でも必要以上に委縮することもないと考えています。
だって病気が悪い💢
 
というのは冗談ですが。でも半分本気です。
患者は悪くないんです。
だから自分も周囲も「仕方ないね」で済ませることができていたと思います。
 
がん患者全員が働きたいわけでもないし、
働けるわけでもないと思います。
ただ、少なくとも私は、告知をされた後に好きなことに没頭するなんて
そんな死ぬための準備をする気にはなれませんでした。
部屋を引き払うとか、荷物を片付けるとか。
絶対にしたくありませんでした。
生きていくんだ、そう毎日念仏のように唱えていました。
死ぬために生きるんじゃない、生きるために生きるんだ、と。
 
だから、あのCMはあのまんまで、
治療しながら、相談しながら働ける社会を目ざす
患者が気兼ねなく休めて、そのことで周囲にも負担がかからない
そういう社会になるように、という事ではないでしょうか。
働けと指図する意図はなく、
その選択は患者に委ねられるのが理想だと思います。
症状に寄りますけども。
 
私は私の一例しか知らないので、
これががん患者の代表意見とは言いません。
私の病気は好発年齢が50代なので
この病気の中心世代でもありません。
ただ、がんは必ずしも死を意味しないし、
働きたいと思う人もいるのだから
働きたい人が働ける社会になってほしい、
そう思いました。
 
がんになったら、いきなりずっと寝たきりで
抗がん剤治療も毎日吐いてばかりで生活できない
とは限らないんですよ。
 
 

もし、病気のステージがもっと進行していたら
違う治療を受けていたら
このようには考えられなかったかもしれません。
なので、あれらのツイートが間違いだとは思いません。
その人たちの状況によって考えは違うもの。
ただ、私のような場合もあるし
医療が進歩し初期で見つかる割合が増えれば
このパターンはどんどん増えるんじゃないかな、と思いました。
その時に「がんになったのなら辞めてください」と言われない社会が
理想だなーと思います。
 
長くなりました。ご一読ありがとうございました。